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オンライン服薬指導

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた規制緩和で、自宅から処方薬(医療用医薬品)を購入できる「オンライン服薬指導」の利用が徐々に広がっている。9月予定だった解禁がコロナ対策で2月末に一部前倒しされ、さらに13日からは医師の診察から薬の購入まで初診者でも電話で済ませることが可能になった。利便性が高まり4月の利用が前月比で2倍になった調剤薬局もある。薬局各社は競争の機会ととらえて対応に知恵を絞る。ただ使い勝手など普及へのハードルも残る。

「脂質異常症の薬が30日分出ました。体調はいかがですか」「大丈夫、変わりないです」――。薬局大手クオールホールディングス(HD)は3月から東京都港区の店でオンライン服薬指導の運用を始めている。薬剤師が向き合うのはレジ越しの患者ではなく米アップルのタブレット端末だ。取材でたずねたこの日は、画面に映る40代男性が都内の職場から、スマートフォンのテレビ電話で応答した。通話時間は約5分。「いつ届きますか」「明日発送するので、2~3日後に」

会話を終え、改めて2人の薬剤師が種類や量をダブルチェックする。薬は緩衝剤を敷いた段ボール箱に詰められ患者宅へ送られた。「対面と変わらず、患者の負担も減る」(田中里奈薬局長)


 

初診患者も対象
 

「服薬指導は電話や情報通信機器を用いても差し支えない」。2月28日、厚生労働省は慢性疾患の患者に限りオンライン服薬指導を認める通達を出した。オンライン診療と同様、新型コロナの感染予防で医療機関に来る患者を減らすための暫定措置だ。続いて4月13日には受診歴のない初診患者向けのサービスも始まった。

従来、処方薬は医師の出す処方箋を元に、薬剤師が調剤して薬局で販売してきた。ドラッグストアで手に入る市販薬より効果と副作用リスクが大きく、用法・用量を対面で聞く服薬指導が購入の条件だ。患者本人へ確実に薬を渡し、安全性を担保する制度である一方、病院と薬局に出向く手間からかねてオンライン化を望む声が多かった。

規制緩和で患者側の利便性は高まる。クオールは医療スタートアップのMICIN(マイシン、東京・千代田)が開発したアプリを急きょ導入。診療や決済もスマホで完結するため、需要が見込めると判断した。男性患者は「以前からオンライン診療を受けているが薬は直接行かないと買えず、ネット対応の広がりは助かる」と話す。

コロナによる時限的な規制緩和の下では、電話だけでも処方薬を買える。処方箋は薬局が医療機関からファクスで受け取る。クオール薬局丸の内店(東京・千代田)ではビジネスパーソンを中心に利用者が増え、電話を含む遠隔の服薬指導の利用者が足元で3割に急伸した。緊急事態宣言前までは2~3%だった。

クオールと競合する日本調剤やアインHDも4月の利用者数が2~3月と比べて2倍になった。薬剤師は梱包作業や患者への着荷確認など業務が増える一方、電話を使うため新しいスキルや設備は必要ない。日本調剤のアンケートでは「遠方から東京に通院してきたが、コロナの不安もあって助かる」との声が寄せられる。

決済に課題
 

外出を減らすという政府の期待とは異なる利用法も増える。7割の店に調剤部門を併設するドラッグストア大手ウエルシアHDの池野隆光会長は「4月はファクスで受け取った処方箋が1万枚以上に急増したが、大半は薬を店に取りに来ている」と明かす。

診療をオンラインで受け、処方箋は病院から身近な店舗に送付してもらう使い分けが増えた。店頭で購入するため従来も利用できた制度だが、コロナを機に、食料品や日用品と合わせてまとめ買いをする需要も拡大しているようだ。普及すれば、将来の強力な集客材料になるとドラッグストア各社が期待を寄せる。

課題もある。薬局は大手チェーンも含めて多くがオンライン決済に対応できておらず、支払いは大半が銀行振り込みに限られている。処方箋のやりとりがファクス主体となっているなど、病院を含めて医療業界になお残る古い制度の改善が欠かせない。

企業、競争激化に備え
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足元では対面販売を定める医薬品医療機器等法が改正され、9月から特定疾患に限って法制上も解禁される。商機と見て、オンライン診療用システムを提供するスタートアップのメドレー(東京・港)は17日、専用の新システムの開発を発表した。

クオールHDも10日に社長直轄の「オンライン医療推進室」を設立。外部出身の人工知能(AI)人材を中心に、システム構築や医療機関との連携強化を進める。薬局には「店で売る特権がなくなれば、ネット通販が薬剤師採用を増やし次々参入してくる」(大手幹部)との危機感もある。

14年にネット販売が始まった市販薬は楽天やアスクルなど通販大手に加え、家電量販店なども相次ぎ参入した。そのため新型コロナによる規制緩和を「将来のネット対応のノウハウを蓄積し、対抗する力を養う機会」(大手関係者)とみる薬局は多い。

新型コロナを契機に、消費者の意識も動向は変化しつつある。服薬指導の使い勝手が高まり、一時的な措置としている服薬指導も規制緩和につながる可能性がある。民間は競争環境の激変に備えている。 

自宅で処方薬購入広がる 今月の利用2倍も: 日本経済新聞

 

 

厚生労働省はオンラインや電話で遠隔診療を実施する医療機関のリストをホームページで公開した。25日時点では全国で1万超の医療機関を掲載している。都道府県別では東京都が最多で1059機関。リストは順次更新する予定だ。

厚労省は新型コロナウイルスの院内感染を防ぐため、従来は認めていなかった初診患者の遠隔診療も期間限定でできるようにした。ただ遠隔診療に対応していても初診からは応じていない機関もあり、ホームページではその違いもわかるようにした。

東京都では遠隔診療を実施する病院のうち、約5割の500超が初診から応じている。一方、初診患者は既往歴や処方歴がわからないなどの理由から、病院に来てもらって対応するところもある。

厚労省は病院のリストとあわせて、遠隔で受診する際の手順も公開した。

まず電話やスマートフォン、パソコンなどで保険証の情報を病院に伝えたうえで事前に予約する。受診時には病院から電話がかかってきたり、専用のシステムに接続したりして、本人確認のうえで医師に症状を説明する。

薬が処方される場合は、自宅近くの薬局に処方箋が送られ、服薬指導を受けることもできる。支払いは銀行振り込みやクレジットカード、電子決済などで行う。

厚労省のホームぺージはこちらhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html